
家を育てると同時に、その地域住民の芸術を理解する力も育てるという問題があるんだろうし、両方育っていく。観客も先ほど口コミと言いましたけれども、ある1つの演奏家が来てある日演奏した、それを聞いた人があの人はよかったわよ−という質の問題がありますが、その価値判断は地域がしていくんだろう。よかった、そのことが口コミで広がっていく、次また来たら、じゃ、一緒に行きましょうというような口コミネットワークが広がっていく。そうすることによって、その演奏を聞いた理解力を持った人たちがそこにふえていく。アーチストにもこういうことを理解してくれる観客がいるという理解が広がっていく、そういう関係づくりがつくられることによって地域の土壌も耕していける。 さらに、大都市で最近進んでいますけれども、フランチャイズの問題。ついこの間も墨田区が新日本フィルとのフランチャイズ制度の内容がほぼ決まりました。札響も札幌市との関係で、まだ最終的に決定は見ていないようですが、墨田区は新日本フィルハーモニー交響楽団に年間180日間施設の優先使用させるという形の契約で、そこに本拠を置いて活動するという内容が発表されました。地域に常連、フランチャイズのアーチストを置いていく、これは大都市では可能になる。そこまでいかなくても小さいアンサンブル、小さい劇団とフランチャイズ、契約関係、パートナーシップでつながっていくみたいなことの展開がある。それと最後に専属の集団を創設する。これは今度静岡県がやろうというようなことで取り組んでいますけれども、こういうようなかかわりがいろんなチャンネルのいろんなレベルでつくれるだろう可能性がある。 今のアーチストの育成の問題と先ほどの招聘の問題。その関係の中で、芸術団体とのかかわりをどうしていくか、あるいはそのチャンネルをどう開いていくかという問題が次に出てくる。公演が実現する構造の中で、どういう組織が日本全国に存在しているだろうかというかなり大づかみな図を示しました。それと役割、性格ですね。皆さんが何かにコンタクトしようとしたときに、ここはこういう性質の団体なんだからこういうことを言っても無意味だという問題もあるわけです。 それと、活動の場のグラフが3つ出しましたね。これは芸団協が行ったオーケストラの調査、児童劇調査、芸能人調査で、一体自分がやる仕事はどこで成り立っているか、自分の仕事はどういうところから注文を受けるか、それを見たグラフです。公演主催者と書いてある円グラフで言うと、自主公演34.4%、自主公演というのは、自分の責任で成り立つ公演です。次が民間劇場からの注文。次が公共ホールが9.3%。次が鑑賞団体というのが13.3%になりますね。次に学校が20.9%、企業が6.1%ですね。学校というのがかなり大
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